英国日記14
Wales
マイカーその2
イギリスのガソリンスタンド(イギリスではガソリンとはいわずペトロ
ールというが)に車を持って言っても店員の人がガソリンを入れてはく
れない。自分でガソリンを入れることになる。日本と同じようにハイオ
クやレギュラー、軽油の種類があるが、これらはボタンで選択するよう
になっていて出口は一つである。ガソリンを入れ終わると自分で店内に
行き、何番のところで給油したかをいうと、料金を教えてくれる。日本
のガソリンスタンドは過剰なほどサービスがよいが、イギリスでは、全
部自分で行わなければならない。その分かどうかはわからないが、イギ
リスでのガソリンは結構安い。当時、1ポンドが230円位だったので、
そのレートで換算しても1リットル85円から90円位であった。
わが家で手にしたおんぼろ車のFIATは、それでも燃費はよく、リッタ当
たり14kmくらいは走ったので経済的であった。しかし、あるときは、
交差点の途中で止まってしまい、セルモーターをまわしながら、交差点
の端までどうにか持って行ったこともあるし、旅行の途中で、朝どうし
てもエンジンがかからなくなってしまったこともあった。うちの父は、
戦前から車を乗り回していた車マニアで(今も70過ぎて、ソアラをぶ
っとばしているのだが)、小さい時からそういう場合のエンジンのかけ
かたも教わっていたので、それが役に立った。運良く、泊まった宿の前
が、わずかに坂になっていたので、トップギアに入れたまま、その坂を
降りることで、ようやくエンジンがかかったわけである。今のオートマ
ではできない芸当である。
わが愛車でこまったことは他にもある。雨になるとまず、エンジンがか
からない。そのようなときは、発火プラグをぬいて乾かしてから何度か
エンジンスタートを試みる。休みの日、朝出かけようとして何度もエン
ジンがかからず、昼になってしまったこともある。車を手に入れてしば
らく乗っていたら、エンジンから異音が聞こえ出した。もうこうなると
お手上げだと思い、この車を紹介してくれた自動車会社に勤めているy
さんに様子を見てもらうことにした。彼の見立ては、エクゾースト(排
気ガス)が、もれているという。そこで、どこか良い修理工場はないか
とたずねたら、売ったほうとして負い目があったのか、yさんが直して
くれるというのである。ただし、部品が必要なので、FIATの専門店に行
って、部品を買って来るようにといわれた。FIATの店の場所を教えても
らって、翌週買いにいく。ガスケットである。部品を手に入れたことを
yさんにいうと、さっそく直すという。しかしこの作業がとんでもなく
大変であった。エンジンの一部を取り外しガスケットを間にはさみ、ま
たエンジンを組み立てるわけだが、なかなか思うようにいかない。
結局、朝から日が暮れる夜までかかってしまった。しかし、そんなこと
をしたおかげ?で、この車に愛着が持てるようになった。
当面は、エン
ジンの異音は消えたが、3ヵ月もたつとまたしだした。今度は、もう自
分らで直す気力はなかったので、修理工場で直してもらうようにした。
もっとも、修理工場で直しても3ヵ月くらいすぎるとまた異音を発する
ようになる。イギリスの車検は毎年必要である。とはいっても日本のよ
うにきびしいものではなく、小さな町の修理工場に一日預ければ行って
くれるし、料金もそれほど高くない。大学の宿舎からケニルワースに行
く途中の両側が牧草地帯になっているところの途中に2件の修理工場が
あり、その一方の店で車検をした。行きは車で行くからいいのだが、帰
りは歩きで、30分くらいかかる。2年目の車検のときはひどかった。朝、
車を届けて夕方とりに行くとまだできていないという。明日にはできる
から明日とりにきてくれと言う。しようがなく、帰りもとぼとぼあるい
て帰る。次の日、また30分かけて歩いていったが、部品がたりなく、そ
の日もまだだというではないか。ここが日本なら日本語でいくらでも文
句がいえるだろうが、英語で言いやっても言い負かされるに決まってい
るので、できたら電話をくれと頼んで、ふたたびとぼとぼと来た道を帰
って行った。電話があったのは、それから2日後であった。
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