英国日記40

イギリスの家

我々の住むクライフィールドコテージについては前に話したが、 他のイギリス人の住む家について話して見たいと思う。といっても 我々が見聞きしたのは一部であり、これがイギリスの家のすべてでない ことは言うまでもない。たとえば、共同研究している Julieの家にも何度も お邪魔したが、これがイギリス人の平均的なものなのかはわからない。 イギリスでは日本と違って、道路が碁盤の目のようになっているところは 少なく、場合によっては、奥まったところに小さなランドアバウトのように リング状に道がついていてそのまわりに家が並んでいるというのも多い。 こういうところは、何とかcloseという住所表示になっている。そんなわけで 日本の様にすべての家が南向きに建っているわけでもない。アメリカの家の ように家の前が広大な庭になっていることはあまりなく、庭は家の裏側に 広くとってある。玄関は日本の様に広くはない。そもそも靴を脱がないわけ だから靴箱が必要ないのである。玄関はある意味で単なる入り口である。 とはいっても日本の玄関のような雰囲気の家もたしかにあった。 玄関を入って次の間が居間であり、ダイニングがつながっているところも ある。こういう点では日本とかわらない。しかし、台所は別になっていて 対面式というのは見かけなかった。風呂とかベッドルームは2階にあるのが 普通である。多くの家は2階建てで日本と比べてもべらぼうに広いという わけではない。ただし、裏庭は庭といえるだけの広さがある。日本だと 本当に猫の額であるが、イギリスでは家の前を見ただけはその広さはわから ない。ストラットフォードに行ったとき、エイボン川を遊覧するボートに 乗ったのだが、その川の片側には、個人の家の広々した庭が 面しており、その庭で優雅にアフタヌーンティをとっている家族や その庭からボートで川にでれるようになっている家など、イギリス人の 優雅さというものを見せつけられた思いであった。(もちろん、こんな ところに豪邸を構えているのは、ごく一部のお金持ちであるには違いないが) 前にも話したが、イギリス人の青年のあこがれは都心の立派な 豪邸とかマンション ではなく、田舎の羊の眺められるのどかな場所が好きらしい。イギリスでは 地震がないので、古い家がいくらでもある。ストラットフォードの喫茶店 などは、2階の床が傾いていたところもあったし、あとで、ウエールズの 知人の別荘を借りたことがあるが、古い農家を買い取ったものの ようで、ここも床が傾いていた。夜寝ていてもころがっていきそうで 不安で眠れなかった。日本だと床が傾く前に家がぼろぼろになってしまうだ ろうし、そんな家はちょっとした地震でもくずれてしまうのではないかと 誰も住む気にはならないに違いない。イギリスは古くなっても修理をしながら 大事に使っている。イギリスでこの家はまだ新しいのよというので、いつ建っ たのか聞いたら100年も前だという。日本だったら明治時代の家なら十分 古い建物である。 イギリスの田舎に行くと(とはいってもわれわれの住んでいたところの 近くであるが)いまだにわらぶき屋根の家(サッチドハウス)も残っている。 有名なアン・ハサウエイの家もそうだし、それ以外にも何軒か見たが、その 多くは、屋根の下側が白い壁でできており、なんともかわいらしい感じの する家が多い。

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