英国日記9
Kenilworth
レミントンスパ
イギリスに来て一週間ちょっとたったころ、ようやく日本からの船便が
届きはじめた。段ボール3箱くらい送ったのであるが、一変に届いたわ
けではない。家族の洋服類などのと磁気テープを入れたのは早めに届い
た。チェルノブイリ汚染を心配して小麦粉などを入れた段ボールがなか
なか届かなかった。あるとき、物理学科のおじさんが、黒いゴミ袋のよ
うなものを抱えて持ってきた。まさか僕にと思っていたら案の定、届か
なかった段ボールの中味が入っていた。段ボールはこわれ、中の小麦粉
の袋も破れ、中のものは小麦粉だらけになっていた。たぶん、小麦粉が
麻薬だと思われたのにちがいない。それで、小麦粉の袋まで破られてい
たわけである。それにしても他人のものを破っておいて、そのまま届け
るなんてなんと無神経なと思ったが、さらにひどかったのは、いれてお
いたはずの本が一冊なくなっていたことだ。麻薬疑惑の際に中のものを
全部出して調べたに違いなく、戻すときにわすれたのかもしれない。
文句を言えばよかったのかもしれないが、どこに言えばよいのかもわか
らずじまいで結局あきらめた。そんなことがあったにもかかわらず、日
本から荷物が届いたことで、われわれの生活はようやく落ち着いてきた。
僕は、朝8:50に歩いて大学に行き、昼に1時間帰ってきて、また大学
に行く。そして5時過ぎにはまた帰ってくる。なんと幸せなことか!
夜は、時として家族で、大学まで散歩に行くこともある。中の本屋や
アートセンターの絵を見たり、時には、ショッピングモールまで買い
物に行く。
僕がいった10月は日本の10月とそれほど違いはなく、気候も、日没も違
和感はなかった。さて、次の土曜日われわれは、2階建てバスでレミン
トンスパという町に行くことにした。というのも、うちの家内は好奇心
旺盛なので、僕が大学に行っている間にバスに乗って行って来て僕にも
一緒に行って見ようということになったからである。
大学のstudent union前のバス停からレミントンスパ行きのバスに乗る
。途中、ケニルワース城跡の広い公園を通り、そして小さなケニルワー
スの町を通って、次の町がレミントンスパである。イギリスの場合、ロ
ンドンを別にすれば、町をちょっとはなれるとそこには牧草地帯になっ
ている。そこでは牛や羊がかわれている。日本の風景は、町から離れて
も人家はなくならないが、イギリスでは、町をすぎると人家は本当にま
ばらにしかない。レミントンスパはコベントリーの南に位置して、オッ
クスフォードに行く途中にある。もしくは、シェークスピアの生まれ故
郷であるストラットフォードアポンエイボンとウォーリック大学の大体
中間という位置にある。正式名称は、ローヤル、レミントン、スパ。
スパという名のとおりそこはかつて温泉が湧いていたのであろう。今で
も町の中心に温水プールの施設がある。レミントンの町もあとで何度も
訪れることになるのだが、初めて行ったときの印象は記憶に残る町のイ
メージとはやはり違っている。
実は、まだ我々は、コベントリーの駅前しか知らないので、コベントリ
ーの町を見ていない。そういう意味では、ロンドン以外で初めて町らし
いところに行ったという感じであった。といっても決して大きな町では
ないが。それでもメインストリートには、店がならび小さなデパートの
ような店もある。町は、非常になだらかではあるがわずかに坂になって
いる。坂を下ったところに公園とスパがあった。今では、その時に撮っ
た写真が唯一の思い出である。でも最初に訪れたイギリスのイギリスら
しい町ということで今でもとてもなつかしい。
Royal Leamington Spa